子どもの矯正と大人の矯正について
矯正治療は、歯をきれいに並べるだけの治療ではありません。正しい噛み合わせに修正し、未熟な口腔機能を鍛え、全身の健康にとって良い状態を作ることに真の目的があります。小児矯正と成人矯正とでは最終的なゴールが異なり、治療の期間や方法も異なってきます。
小児矯正と成人矯正の違い
まず、小児矯正は最終的に全ての永久歯が正しく生え揃うことを目的としています。乳歯列期、または混合歯列期から矯正治療を開始し、問題のない永久歯列が完成するように、お子さまの顎の成長に合わせて歯並びを改善する「咬合誘導」を行います。
一方で、成長期が過ぎた大人の方に行う成人矯正では、すでに完成している永久歯列をいかに正しい歯並びに変更するかを念頭に矯正治療を行います。すでに顎の骨が成長しきっているので、歯の向きや角度を移動させる方法を採ることが多いです。
小児矯正では保護者の方にも協力いただき、虫歯や歯周病などを予防しながら矯正治療を進めていきます。また、ご自宅で行うマウスピース矯正や顎拡大床など、患者さまご本人・ご家族にも協力していただくことが多いです。
小児矯正で行う治療
お子さまの乳歯が生えている段階から歯並びを気にされる方がいますが、乳歯列のうちは多少歯並びが悪くても問題ありません。永久歯に生え変わる途中で歯並びが改善されてきます。おおよそ7歳前後の時期に歯並びが不安な場合は矯正治療を検討すると良いでしょう。
しかし、小児矯正ではすぐに歯を移動させるようなことはしません。小児矯正で行う代表的な治療法をご紹介していきます。
顎の成長を促進
顎の大きさが小さく、歯が生えてくるスペースが十分にない場合は、床矯正装置などを使って顎を側方へ拡大します。顎に幅を作ってあげることで、歯並びが凸凹になることなく一列に並びます。上下どちらかの顎が成長不足だと懸念される場合は、顎を前後に引っ張ってあげて成長促進をさせます。
顎の成長を抑制
主に上下どちらかの顎が過大に成長しそうな症例では、顎にヘッドギアなどの装置を装着して成長を抑制させます。もう一方の顎は成長抑制をしないので正常に成長し、バランスを取ることができます。
成人矯正で行う治療
成人矯正では、主にブラケットとワイヤーを用いて歯を移動させます。顎や歯の生えるスペースなど根本的な問題ではなく、主に歯の生えている方向を変更する・歯の位置を変更する手法を採用します。
歯が後戻りしないためにも、矯正装置が外れたあとは保定装置を装着し、保定期間と呼ばれる歯列を固定させるための期間を設けます。
また、歯が生えるスペースがない場合は抜歯を伴う必要、顎の大きさが問題の場合は顎の骨に外科処置を行う必要が出る場合もあります。矯正治療についてのご相談は、お気軽に申し付けください。
